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日本製じゃないと不安ですか?海外製の靴でも安心できる3つのポイント!

突然ですが、皆さまは「日本製以外の製品は不安…」と感じられますでしょうか?

私は、個人的には食以外では全く不安を感じることはありません。

なぜか?

その理由を実際の靴製造の観点から説明していきたいと思います。

世界の靴製造

年々減少する日本の靴、今履いている靴はどこで作られたもの?

2016年時点、世界では約230億足の靴が製造されたと言われています。

その内、約86%(約200億足)は日本を含むアジアで製造されており、中でも中国は約57%という驚くべき数量を製造しています。

世界の靴の半分以上は中国で生産されているのです。

一方で日本の靴製造は前年割れが続いており、市場に出回っている日本製の靴はわずか8%と1割を下回る状況が続いています。

皆さまが、今履かれている靴は日本製でしょうか?海外製でしょうか?

製造時の危険の発生

モノづくりと危険は隣合わせ

靴を製造する時、たくさんの”危険なモノ”を使用します。

例えば、生地を裁断する時には、生地がずれないようにホチキスで止めたり、靴の底とアッパー(甲部分)を合わせる成型工程では釘を使用します。厚手の生地を縫う時に針が折れる可能性もあります。

これらはいずれも当たり前に使用しますが、誤って商品に混入すると大変危険なモノです。

靴自体が”危険なモノ”に

製造時、作業が適切でないと靴自体が”危険なモノ”になってしまいます。

最近某有名ブランドの靴を使用中に靴底が剥がれ、バスケットボール選手が怪我をしたというニュースがありました。

靴自体の耐久性か使用状況が過度だったのかは不明ですが、靴にとって底剥がれというのは最も注意が必要な問題です。

靴の製造では様々な機械を使用しますが、機械の設定(圧力、高さ、角度、温度、時間…etc)が適切でなかったり、底やアッパー(甲部分)の素材の種類に対して使用する糊や処理剤の種類が適切でないと、要求される接着強度を出すことが出来ず、普通の使用で剥がれてしまうという大変危険な靴が出来てしまいます。

使用される資材でも危険が発生する

資材の性能の良し悪しも危険を発生させる要因となります。

例えば面ファスナーなどは性能のバラつきが大きく、最初からくっつく力が弱い、あるいは最初は強いが、すぐに弱くなり着用時に外れるということが起こる可能性があります。

海外製靴の安心・安全を守るために

どこで作っても、誰が作っても危険発生の可能性は存在する

上に述べたような問題は日本を含めて世界中どこで作っても起こる可能性があります。

日本製が安心という感覚は、日本人の仕事の丁寧さや誠実さによるものが大きいのではないでしょうか。確かに日本人と外国人の間で、品質に対する認識は異なる場合があります。

しかし、様々な工夫や対策により日本製の品質と同等、またはそれ以上の品質へと導く事もできるはずです。

では海外で製造する場合、どのように危険を回避するのでしょうか。

徹底した管理で危険を回避

異なる認識を統一するためには、ルールの設定とその管理が有効です。

私達の靴製造委託先では以下のようなルールで危険を回避しています。

①裁断時の生地ズレにはホチキスの代わりに生地端に穴を空け、細いテープを通す。ホチキス混入を根本から防ぐ

②ミシン針が折れた場合、折れた針を集めて元の状態に戻す(完全復元といいます。)これにより針の破片の混入を防ぐ

③成型では釘を使わない工法(非常に難しい!)を採用することで、釘混入を根本から防ぐ

④開発段階(サンプル、モニター等)で強度を把握し、量産時に同様の設定・性能を再現する

⑤資材性能を量産前に把握する。性能のバラつきが大きい資材は、供給先を指定することで性能の安定を図る

これ以外にも危険を根本から防ぐ、あるいは危険が発生した場合に発見出来るようにする工夫をたくさんしています。

場合によっては通常よりも手間やコストがかかりますが、安心・安全な靴を作るためには必要なことです。

それでも起こるミスを食い止める

様々なルールを決め管理していても、靴の製造は人の手作業によるものが多くどうしてもミスが起こります。

そのミスの流出を防ぐために、検品を専門に行うプロの検品会社に商品を見てもらうという方法があります。

糊が適切に入っているか、針や金属なども異物が混入していないか、検品は外観の汚れや寸法にも及びます。

念には念を入れ、徳武産業では日本入荷後の抜き取り検品や全数出荷前検針を実施しています。

厳しい検査を合格した商品だけが出荷される仕組みになっているのです。

まとめ

海外製であっても工夫次第で日本製と変わらない安心・安全な靴を作れることがお分かり頂けましたでしょうか?

靴のプロとしては、他と同じような見た目なのになぜかものすごく安い…というような靴はあまりおすすめ出来ません。

安心・安全な靴作りの工夫がなく、コストを再重視している可能性が高いからです。

技術が進歩し、同じことが昔よりも安く出来るようになったことは事実ですがやはり限度があります。

生産地や値段、見た目だけで選ばず、そのメーカーがどんな思いを込めて靴を作っているのか、そういった観点から見てみると品質とコストのバランスの良い、良い靴に出会えるのではないでしょうか。

皆さまが、最高の1足に出会えますよう心よりお祈りしております。